50分の自己紹介が教えてくれた「真の合理性」とは

6月に新しい会社に入社して、僕がまずやったこと。それは一人一人と50分みっちり、1on1でパーソナルマップを作ることだった。
「そんな時間があったら、別の作業をしていた方が有効なんじゃないか?」
正直、自分でもそう思っていた。ゴール的に考えると、明らかに非合理。でも、あえてその選択をしたのには理由がある。
正論を振りかざして学んだ、痛い教訓
実は僕には、苦い失敗体験がある。
以前、新しい組織に入った時、とにかく頑張ってしまった。入社してすぐに組織の問題点や課題をたくさん挙げて、改善提案を次々と出していった。自分が求められている期待に応えようとして、本質的な部分にアプローチしようと必死だった。
「僕の見方は間違っていない。なぜその本質部分にアプローチしないんだろう?」
でも結果はどうだったか。組織の中で孤立してしまった。
もともといたメンバーからすると、関係性ができていない状態でいきなり問題を指摘されても、否定されている気持ちになるだけ。当時の僕は「なんでわかってくれないんだ」と思っていたけれど、今思えば当然の反応だった。
優秀な人ほど陥る罠
この現象、実は多くの優秀な人が陥りやすい罠なんじゃないかと思う。
問題を見抜く力がある人ほど採用面接を通りやすい。そういう成功体験が強い人ばかりを集めている組織は、どんどん生きづらい組織になってしまう傾向がある。前職でも、優秀なEMやPdM, エンジニアが入社してきて、成功体験を背景に強く課題を提言する。その結果、もともといたメンバーが萎縮してしまい、課題を提起した人は「関わりにくい人」になってしまう光景を何度も目撃した。
最初に、成功体験を振りかざして課題を提起しすぎても、うまくいかない。
これが僕の学んだ教訓だ。
対話から気づいた、本当の論理性
あの辛い経験の中で、僕は「対話」の重要性に気づいた。そこから関係性の大切さを学び、さらに「相手の気持ちを否定しないように引き出すにはどうすればいいか」を考えるようになった。
論理的に考えている人って、感情を考えないことと論理的であることをイコールにしがちだ。でも本当に論理的に考えるなら、感情をまずfixさせてから事実や本題に入る方が、よっぽど論理的なんじゃないだろうか。
50分の投資が生んだもの
だからこそ、新職場では関係性構築を最優先にした。入社したてで「できることが少ない」からこそ、そこにいる人たちとの関係性構築が一番重要なタスクになると判断した。
実際にやってみた結果はどうだったか。
「めちゃくちゃこれいいよね」「私もそれやればよかった」と言ってくれる人が多数。全員に刺さったわけではないけれど、相手に「あなたに私は興味を持っています」というメッセージを伝えることができた。
そして何より、スクラムマスターとして「足で稼ぐ」という自分のスタイルを確認できた。チームに踏み込んで、自分の足でいろいろ情報を集めたり観察する。そこから観察のレベルが上がっていく実感がある。
理想像を提示する技術
今の僕は、課題を直接指摘するのではなく、まず理想像を部分的に提示している。5回ほど「こうするといいかもしれませんね」という話をした後で、全体像をまとめて共有する。ただし「これを100%実現したい」ではなく「叩き台として」「僕の頭の中の前提として」という位置づけで。
そうすることで、組織の人たちから課題を聞き出し、それをベースに話していく。相手に納得してもらいやすい形に落ち着く。
非合理に見えて、実は合理的
振り返ってみると、50分の1on1は一見非合理に見えて、実はかなり合理的な選択だった。
関係性に価値基準を置いている人じゃないと、このメソッドの有効性は理解できないかもしれない。でも僕は、そこに自分が最も価値を置いているという自信があったから、直感を信じることができた。
合理性って、実は人それぞれの価値基準によって決まる。
効率性を重視する人には非合理に見えても、関係性を重視する人には合理的。そして組織で何かを変えていくためには、関係性なしには始まらない。
感情を無視していてはうまくいかない、という経験がないと気づきにくいことかもしれない。でもその経験を経た今だからこそ言える。
真の論理性とは、人の感情も含めて考えることなのかもしれない。
余談
毎月お金を払って運営しているブログをそのままにしておくのはちょっともったいないと思ったので、今回AIと音声入力を駆使しながらAIにインタビューをしてもらう形で、僕が答えた内容をもとにAIにストーリーのようにまとめてもらいました。
この形式を取ることによってブログを書くコストっていうのはめちゃくちゃ下がりますし、毎日自分を振り返るという意味でも、自分の学びを言語化することができるので、これは結構有効な振り返り手法なのかなとも思いました。
ぜひどうぞ。